異種金属接合 ロウ付け用メッキ
ロウ付けをするためにメッキするという・・・
ちょっと変わったメッキ技術です。
異種金属接合用メッキとは難溶接素材であるチタンや形状記憶合金、ステンレスなどの同じ金属同士、またはそれ以外の金属をロウ付け、半田付けする場合に メッキを付ければ簡単に接合できるという技術です。
この異種金属接合・ロウ付け用メッキをすれば、チタンと銅でも簡単にロウ付けができるようになります。
異種金属接合 ロウ付け用メッキについて
チタン、形状記憶合金、ステンレスなど難溶接素材の接合や異種金属の接合にお困りではありませんか?
例えば、チタンと銅合金を接合したい、形状が複雑・小さすぎる・少量のためロウ付けの治具を作る予算がない、などそんな時に、熱に強い特殊なニッケルめっきを付けてからロウ付け、ハンダ付けをすれば簡単に接合することができます。もちろん特別な技能や高額な設備、アルゴン溶接などのガス溶接機、スポット溶接機などは必要ありません。抵抗ロウ付け、高周波、半田ごて、ガス溶接などで簡単に接合できます。
チタンと形状記憶合金や銅・ステンレス、またはステンレスと銅合金などの異種金属が接合できます。もちろんチタン同士、形状記憶合金同士のロウ付けもできます。
ロウ付け後に接合部分以外の不要なニッケルめっきを溶かす方法、又はめっきを溶かさずにそのまま研磨・装飾メッキめっきをして仕上げる方法など、材質により前処理、メッキの種類を変えるなど多彩な技術を持っていますので、最適な方法はお気軽にメールまたはお電話にてご相談下さい。
チタンやステンレスの眼鏡用には創業以来30年以上の実績があり、数えきれない程の眼鏡を生産してきました。また超弾性の医療用ガイドワイヤーにも応用され10年以上の実績があります。(株)ワカヤマがもっとも得意としているメッキ技術ですから安心してご使用ください。
特徴・用途・適応素材・処理可能寸法
特徴 |
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用途 |
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適応素材 |
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処理可能寸法 | 400×200×100 |
よくある質問
- 異種金属接合めっきではどんな材料が接合可能ですか?
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異種金属接合メッキで接合(ロウ付け、半田付け)可能な金属の種類は以下のようになります。
・チタン、チタン合金(22-4、15-3-3-3、10Zrなど)、
・NT合金(超弾性合金、NiTi合金)、
・ステンレス(SUS304、SUS316など)
これらの同じ金属同士や違う金属を 熱に強いニッケルメッキを付けることで簡単に接合(ロウ付け)することが出来るようになります。
このニッケルメッキを付けたチタンなどに銅合金などのロウ付け・半田付けがしやすい金属を接合するには 銅合金にはこの異種金属接合メッキは必要ありません。
アルミニウムは素材の特性上、ジンケート処理をしないとニッケルメッキが付けられない為 異種金属接合メッキはできません。ジンケート処理はロウ付け時の高温に耐えられない為です。
接合可能な金属を表にすると以下のようになります。
表:異種金属接合メッキで可能な金属の種類
Ti Ti合金 NT合金 銅合金 (メッキ無し)SUS アルミ Ti 〇 〇 〇 〇 〇 × Ti合金 〇 〇 〇 〇 〇 × NT合金 〇 〇 〇 〇 〇 × SUS (メッキ有・無し)〇 〇 〇 〇 〇 × 銅合金など (メッキ無し)〇 〇 〇 〇 〇 × アルミ × × × × × × <もっと詳しく知りたい方は>
⇒異種金属接合 ロウ付け用メッキの製品ページへ
⇒御社でロウ付けもできますか?
⇒異種金属をロウ付けすると金属の電位差で錆びるのですか?
⇒よくある質問のページへ(異種金属接合メッキ、ロウ付けメッキ)
- どんな部品に異種金属接合 ロウ付け用めっきをしていますか?
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異種金属接合 ロウ付け用メッキのメインは眼鏡のチタン、形状記憶合金、SUS製部品にこのめっきをしています。
他に形状記憶合金の医療部品(0.3φ)、カメラ部品(SUS製0.3φパイプ)、チタン部品に白金板をロウ付けして電極にする、SUS部品(300φ)など業種、用途は多種多様です。
チタン、超弾性合金、SUSなど溶接、ロウ付けが難しい材質でおまけに小さすぎる、大きすぎる、形状が複雑、ロットが少なく溶接の型を作ると不経済などの時に、めっきする事で簡単にロウ付けができるようになります。
<もっと詳しく知りたい方は>
→異種金属接合 ロウ付け用メッキのページへ
- 異種金属接合 ロウ付け用メッキとは何ですか?チタンとステンレスを接合できますか?
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異種金属接合ロウ付け用メッキとはロウ付けが難しい金属にNiメッキを付ける事で、通常の設備でロウ付けや半田付けが可能になるというちょっと変わった機能性めっきです。高額な設備や特別な技術が不要なため小ロット品でも手軽に接合ができます。
具体的にはチタン、チタン合金、形状記憶合金(超弾性合金、NT合金、NiTi合金)、ステンレスにそれぞれの材質に合わせた前処理方法で熱に強い特殊なNiメッキをします。
これらの金属は通常の方法ではロウ付け、半田付けが不可能であったり、困難であったりします。またチタンとステンレスや銅合金をロウ付けなどで接合することは通常ではできません。しかし、異種金属接合ロウ付け用メッキ後の材質表面はニッケルですから元の材質には関係なく簡単に普通のロウ付けができます。この方法ですとチタンとテンレスや銅合金でもロウ付けができるようになります。しかし「ロウ付けが難しい金属=メッキも難しい金属」ということでもあり、ロウ付けの技術や方法にも影響されるので 採用に当たっては十分なサンプルでの検証が必要です。
この技術で毎月3~5万枚以上の眼鏡を30年以上生産してきた実績がございますからご安心下さい。
(弊社はメッキ業者ですからロウ付けはしませんが、一部ご希望によりロウ付け専門業者に委託してロウ付けする事もできます)
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- 異種金属接合 ロウ付け用メッキを依頼する場合の注意点はありますか?
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異種金属接合 ロウ付け用メッキは素材ごとに前処理を変えて処理する為、材質表示をきちんとしてください。
例えばチタンは、純チタン、βTi15-3-3-3、βTi22-4、10ジルコンなど組成が分かる表記をしていただくとありがたいです。15-3-3-3 と 22-4 では前処理方法が違い、間違うとロウ付け後にメッキから剥がれてしまいます。
材料メーカー各社により商品名がありますが、組成の分からない場合はそれでも結構です。 形状記憶合金(超弾性合金、NT合金)はチタンとはまったく処理方法が違います。 間違えて処理すると水素脆性で折れてしまうことがありますからご注意下さい。
ステンレスの場合は、SUS304などのいろいろなステンレスの種類がありますがステンレスだけで結構です。
焼きなましなどで表面が焼けている品物を酸洗いで焼けを取って、メッキしてくださいと持ち込まれる方がいらっしゃいますが、これらの材料は元々メッキも難しい材料なので、酸洗いだけではメッキは密着しません。 焼けた場合は必ず酸洗いと研磨の両方で完全に表面の酸化膜を除去してからメッキする必要があります。 ブラストもガラスビーズ程度では焼けは取れていません。
異種金属 ロウ付け洋メッキはロウ付け時の温度、後のバレル研磨やバフ研磨、仕上げのメッキなどのストレスに耐えなければなりません。 それだけ密着力が必要なメッキなので良い物を作るために、ご理解と協力をお願いします。
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- 異種金属接合 ロウ付け用メッキを溶かす場合の注意点はありますか?
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チタン、チタン合金、形状記憶合金(超弾性合金、NiTi)、ステンレスの異種金属接合 ロウ付け用ニッケルメッキはロウ付け後には不要なニッケルメッキを溶かします。(純チタンは厚付けして溶かさない方法もあります)ニッケル合金の部品を接合した場合は、ニッケルめっきを溶かす際に剥離液で荒れてしまう場合がありますので製品全体の材質の表示を間違いなくして下さい。ある意味、めっきをつけるより素材を痛めないでめっきを剥離するほうが難しいです。
特にステンレスの場合は剥離液を間違うと、溶けてしまうことがありますので必ず明記して下さい。
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- 御社でロウ付けメッキ後、ロウ付けまでできますか?
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はい、できます。
弊社は基本的にメッキと塗装をする会社ですが、福井県鯖江市の眼鏡関係のロウ付け業者がたくさんありますのでそこにお願いすることができます。
チタン、超弾性、ステンレス、洋白などの小物のロウ付け加工ならお引受けいたします。
チタンとチタンのスポット溶接も可能です。
単価等はご相談ください。
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- ロウ付けと半田付けの違いは何ですか?
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用いるロウ材の融点で区別するようですが、はっきりとした区別はないと思われます。ロウ材は450℃以上のものを硬ロウ、それ以下を軟ロウ(はんだ)と呼ぶそうです。
ロウ材には様々な種類がありますが、代表的なものは銀ロウ(銀、銅、亜鉛などの合金)、 他に黄銅ロウ、アルミニウムロウ、リン銅ロウ、ニッケルロウ、金ロウなどがあります。
半田は錫と鉛の合金ですが、最近はRoHSなどの環境保全の取り組みのため鉛フリーの半田が多く使われるようになっています。
両方ともロウ材は母材より融点が低いことが絶対条件となっています。
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- 異種金属をロウ付けすると金属の電位差で錆びるのですか?
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確かに違う金属同士を溶接やボルト締めなどで接合した場合や金属素材にメッキを付けた場合は 2つの金属間の電位差で
どちらかが陽極になり、片方は陰極になります。陽極になった金属は酸化して錆びてきます。
以下のHPに書かれているように アルミとステンレスを接触させると 電位差でアルミの
腐食が促進されて アルミがボロボロになったりします。
ステンレス協会 「ステンレスと異種金属の接触についての問題点」
http://www.jssa.gr.jp/contents/faq-article/q9/
金属の電位差とは中学校でならった「イオン化傾向」です。
「金借るな、まああてにすな、ひどすぎる借金」という風に覚えましたがご記憶にありますか?
「金属のイオン化傾向」
http://sekigin.jp/science/chem/chem_04_6_09.html
イオン化傾向を逆にうまく利用したメッキがあります。
鉄に亜鉛メッキをメッキすると 水があるときに 亜鉛が陽極、鉄が陰極になり亜鉛が錆びて
鉄を守ります。この為、鉄に亜鉛メッキをかけると非常に耐食性が良くなります。
鉄板に亜鉛メッキしたものを「トタン板」と呼びます。
「ブリキ板」は鉄に錫メッキを付けたものです。錫自体が耐食性が良いのでさびにくいのですが
鉄と接触することでイオン化傾向の小さい錫は陰極になり さらに錆びにくくなります。しかし いったん傷がつくと
陽極になる鉄はどんどん錆びてしまいます。
「化学五郎 トタンとブリキ、さびに強いのは?」
https://ameblo.jp/kyushinjuku2/entry-11230924581.html
話がずれましたが、ご質問の回答は 「別に特に気にすることはない」と私は思います。
なぜなら、元々ロウ付けや半田付けのロウ自体が 異種金属だからです。銀ロウの主成分はもちろん銀なので
イオン化傾向はかなり低いです。つまり銀は大抵の金属を錆びさせてしまいます。
半田の錫もイオン化傾向は小さいほうです。ロウ付けという技術自体が異種金属を接触させるものなので
今更特に気にしてもしょうがないでしょ、と言うのが私の見解です。同じ金属だけを使っていては なかなか
思うような製品ができません。
ロウ付けは溶接とは違い 眼鏡や装飾品など 風雨にさらされないような製品が多いというのも理由です。
どうしても 気になる製品はご自分で耐食試験を行うしか方法がないのですが、それにしてもその製品に対して
どんな耐食性試験が有効なのか、試験結果と個々の製品の実耐用年数の関連性がどうなのかが 経験からしか
よく分からないのが実情だ思います。
ニッケルの性質
元素記号 Ni、原子番号 28、原子量 58.6934、融点 1455℃、比重 8.845、強磁性体、
銀白色で耐食性に優れ、硬さがあるが柔軟性にも優れている。ステンレス鋼やニッケル合金、メッキ、貨幣などに使われているため身近な金属である。もっとも代表的なステンレスである18-8ステンレス(SUS304)の組成ははクロム18%、ニッケル8%、他は鉄である。50円硬貨と100円硬貨は白銅(銅725%、ニッケル25%)、500円硬貨はニッケル黄銅(銅72%、亜鉛20%、ニッケル8%)である。組成が違うので100円硬貨と500円硬貨の色を比べると500円の方が少し黄色っぽくなっている。
チタンとニッケルの1:1合金は形状記憶合金となる。
メッキとしては様々な薬品を添加し光沢を出す光沢ニッケルメッキ浴、スルファミン酸ニッケルメッキ浴、塩化ニッケルメッキ浴などがある。合金メッキとしてはニッケル-錫メッキ浴、ニッケル-鉄メッキ浴、ニッケル-銅メッキ浴などがある。