よくある質問

異種金属をロウ付けすると金属の電位差で錆びるのですか?

確かに違う金属同士を溶接やボルト締めなどで接合した場合や金属素材にメッキを付けた場合は 2つの金属間の電位差で
どちらかが陽極になり、片方は陰極になります。陽極になった金属は酸化して錆びてきます。

以下のHPに書かれているように アルミとステンレスを接触させると 電位差でアルミの
腐食が促進されて アルミがボロボロになったりします。

ステンレス協会 「ステンレスと異種金属の接触についての問題点」
http://www.jssa.gr.jp/contents/faq-article/q9/

金属の電位差とは中学校でならった「イオン化傾向」です。
「金借るな、まああてにすな、ひどすぎる借金」という風に覚えましたがご記憶にありますか?

「金属のイオン化傾向」
http://sekigin.jp/science/chem/chem_04_6_09.html

イオン化傾向を逆にうまく利用したメッキがあります。
鉄に亜鉛メッキをメッキすると 水があるときに 亜鉛が陽極、鉄が陰極になり亜鉛が錆びて
鉄を守ります。この為、鉄に亜鉛メッキをかけると非常に耐食性が良くなります。
鉄板に亜鉛メッキしたものを「トタン板」と呼びます。

「ブリキ板」は鉄に錫メッキを付けたものです。錫自体が耐食性が良いのでさびにくいのですが
鉄と接触することでイオン化傾向の小さい錫は陰極になり さらに錆びにくくなります。しかし いったん傷がつくと
陽極になる鉄はどんどん錆びてしまいます。

「化学五郎 トタンとブリキ、さびに強いのは?」
https://ameblo.jp/kyushinjuku2/entry-11230924581.html

話がずれましたが、ご質問の回答は 「別に特に気にすることはない」と私は思います。
なぜなら、元々ロウ付けや半田付けのロウ自体が 異種金属だからです。銀ロウの主成分はもちろん銀なので
イオン化傾向はかなり低いです。つまり銀は大抵の金属を錆びさせてしまいます。
半田の錫もイオン化傾向は小さいほうです。ロウ付けという技術自体が異種金属を接触させるものなので
今更特に気にしてもしょうがないでしょ、と言うのが私の見解です。同じ金属だけを使っていては なかなか
思うような製品ができません。
ロウ付けは溶接とは違い 眼鏡や装飾品など 風雨にさらされないような製品が多いというのも理由です。

どうしても 気になる製品はご自分で耐食試験を行うしか方法がないのですが、それにしてもその製品に対して
どんな耐食性試験が有効なのか、試験結果と個々の製品の実耐用年数の関連性がどうなのかが 経験からしか
よく分からないのが実情だ思います。






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