塗装はなぜくっつくんですか?塗装がくっつく力は何ですか?
塗装皮膜が何かにくっついていることを「付着」と言います。
塗装は分子間引力のファンデアワルス力で付着しています。
金属素材にメッキしたもの、例えば真鍮にニッケルめっきは、真鍮とニッケルが分子間引力の1種である共有結合でくっついています。
大体、ファンデアワルス力を1とすると共有結合のくっつく力は100ほどになります。
それでは、塗装はすぐに剥げてしまうのかと言うとそうではありません。塗料分子の活性点(極性基)が相手分子の活性点と結合して付着しますが、塗料は高分子なのでこの活性点が非常にたくさんあり、結果として大きな付着力になります。
被塗物が変われば付着力も当然変わります。概して亜鉛、アルミ合金には密着が悪く、鋼、ニッケル、銅にはよくくっつきます。
熱硬化性プラスチックにはよく付着しますが、熱可塑性プラスチックには付着しにくいと言われています。
同じ種類の樹脂でもメーカー、成分の変化、製造工程などで変わります。どこのABS樹脂でもまったく同じ付着力になる保証はまったくありません。
プラスチックは金属に比べて表面エネルギーが低く(極性基が少ない)、不活性なため一般に付着がよくありません。
特にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ナイロンなどは結晶化度が高く、難溶性のため付着がわるいです。これらの樹脂は適切な表面処理(オゾン酸化、紫外線処理、CASING)などで塗料の付着力を上げる方法もあります。