アクリル?焼付?塗装の名前が分からない!
塗装の呼び方がわからない!
そんな質問に対してお答えいたします。
実は、塗装の呼び方はとてもとてもややこしいとプロの私でも思いますので、こちらで一度まとめてお伝えしたいと思います。
お客様からの質問を伺っていると、「塗装方法による呼び方」と「乾燥方法による呼び方」、そして「塗料の成分」による呼び方などが入り混じっていて、なかなか理解していただくのが難しいと感じています。
塗装の呼び方の種類は大きく分けて4種類あります。
①塗装方法による呼び方:吹き付け塗装、刷毛塗り塗装、電着塗装など
②乾燥方法による呼び方:焼付塗装、常温乾燥塗装など
③塗料成分による呼び方:アクリル塗装、ウレタン塗装、メラミン塗装など
④塗料の性質による呼び方:粉体塗装、溶剤塗装、水性塗装、カチオンなど
上記の異なる呼び方をいくつか組み合わせて、「アクリル焼付塗装」や「カチオン電着塗装」などプロっぽい伝え方をマスターしていただければと思います。
①塗装方法による呼び方
こちらは、どのように塗装をするかによっての呼び方です。
スプレーを使うなら、スプレー塗装や吹き付け塗装
刷毛を使えば、刷毛塗り塗装
電気を使えば、電着塗装
それぞれのメリットとデメリットがあるのですが、デメリット部分を技術でカバーしつつメリットを最大限に活かすことが大切になってきます。
例えば、スプレー塗装は塗料を少量用意するだけで様々な表現ができるので、大変小回りが利きますが、製品全体を均一に塗ることが難しいというデメリットがあります。
当社では、眼鏡塗装のノウハウを活かして、電着塗装のようなクリアーカラーも吹き付け塗装で行うことで、様々なカラーバリエーションを小ロットでも再現しています。
②乾燥方法による呼び方
◆焼付塗装(やきつけとそう)
200℃前後に加熱すると硬化する特殊な塗料を使用する塗装方法です。
焼付用の塗料は、熱がかかることで化学反応(重合反応)を起こして、皮膜を硬化させます。
乾燥時間が早く、耐光性、耐摩耗性にも優れているのが特徴ですが、扱いが難しく一般的にホームセンターなどでは販売されていません。
熱を加えて硬化させることで本来の性能を発揮するため、金属などの熱に強い素材には適応しますが、プラスチックや木材などの熱に弱い素材には焼付塗装ができません。
それらの素材の塗装にはウレタン塗装やラッカー塗装など、常温(室温)で乾燥する塗料が使われます。
焼付塗装について詳しくはこちら
用途:様々な金属製品、工業製品の耐食性アップ、装飾性・意匠性をアップとして差別化
◆常温乾燥塗装
こちらは、主剤と硬化剤を塗装直前に混ぜることで室温でも徐々に化学反応が始まり塗膜が硬化していく塗料を用いた塗装方法です。プラスチックなど焼付塗装ができないような素材に適しています。
自動車などを塗装する際は、60℃~80℃での乾燥を行うことで、短時間で塗料の性能を引き出し、丈夫な塗膜を形成します。
ホームセンターなどで売られているDIY塗料も常温乾燥型ですが、性能よりも使いやすさに重点を置かれているなど、用途に合わせて最適な塗料を選ぶのが良いでしょう。
③塗料成分による呼び方
塗膜とは、簡単に言うとプラスチック製の薄い膜ということになるのですが、プラスチックと一言で言っても、様々な種類がありますよね。
このプラスチックの成分に着目した呼び方が、塗料成分による呼び方となります。
アクリル系の樹脂が多いと、アクリル塗装
ウレタン系の樹脂が多いと、ウレタン塗装
メラミン系の樹脂が多いと、メラミン塗装
ですが、樹脂ばかりでもなく例えば自動車コーティングなどにも用いられるセラミックを多く含んだ塗装だと、セラミック、つまりガラス成分を多く含んでいて、とても頑丈な被膜を作ったりします。
樹脂塗装について詳しくはこちら
用途:各種樹脂、プラスチック製品の装飾、光沢を出したい、つや消しにしたい時
④塗料の性質による呼び方
塗料の状態による呼び方もありますね。よく聞くのは、粉体塗装や溶剤塗装など。
最近SDGsの関係で、環境負荷を軽減する目的で水性塗料も脚光を浴びています。
こちらもそれぞれメリットとデメリットがあり、これが一番いい!というのはなかなかないのですが、簡単にだけ説明させていただきます。
◆粉体塗装
その名の通り、塗料が粉の状態です。静電気などで製品に塗料の粉をくっつけて、焼き固めることで塗膜にします。
分厚く塗装をつけることが可能ですが、塗膜が固く柔軟性のある製品には不向きです。
粉は回収することで再利用も可能なので、環境にやさしい塗料として注目を集めています。
◆溶剤塗装
一般的にシンナーと呼ばれる揮発性の液体に塗料が溶けている塗料を用いた塗装です。
アクリルやウレタンの塗料は、溶剤塗装の一種です。
揮発性があるため、乾燥が早く作業性もよいため塗装の主流といえます。
◆水性塗料
環境にやさしい塗料ということで近年研究が盛んな塗料です。
その名の通り溶媒が水なので、溶剤のようなツンとくる匂いもなく、環境にやさしいとされています。
ただ、乾燥に時間がかかる、作業性が悪いなど溶剤塗装ほどの地位は確立していませんが、SDGsの観点からも今後ますます期待が高まっています。
今回は、塗装の名前について触れてみました。これが正解!というのはなく、今までの経験上で私なりにまとめてみましたので、ご参考程度にお願いします。
こんなことについて教えてほしいなどがございましたら、質問からお問い合わせください。