会長の戯言 ブログ

面白いペンキのお話 No10 チタンも溶かしてしまう塗装剥離

チタンと言えば耐食性が良くて 軽くて 夢の金属のように言われています。その耐食性ゆえ 航空機部品や人工関節、化学プラントなど様々なところで役に立っています。

塗料関係では二酸化チタンが白い顔料として、また以前ご紹介した光触媒塗料としても使われています。

このチタンが何十年も前から普通に使っている塗装の剥離剤で溶けてボロボロになってしまうのです。超弾性(Ti50%‐Ni50%)も簡単に それこそ1cm単位でポキポキと折れてしまいます。

しかし チタン以外の金属やニッケルめっき、クロムめっき、金めっきなどはよほど間違えて付けすぎない限り まったく変化ありません。塗装剥離後は洗浄してそのまま再塗装ができます。実際 この剥離剤のタンクはステンレスですがもう何十年も使っています。

なぜチタンが溶けてしまうかと言うと チタンは高温、高濃度の苛性ソーダ(水酸化ナトリウム NaOH)や水酸化カリウム(KOH)には弱いからです。この剥離剤の主成分は水酸化カリウムです。

この様にチタンは耐食性がいいと言われていますが 他の金属なら何の変化もない様な薬品に反応してしまうことがあるので 塗装の剥離の時には素材が何なのか 非常に気を使います。

また アルミニウムは両性金属と言って 酸にもアルカリにも溶けるのでアルミニウム専用の塗装剥離剤を使わないと溶けて無くなってしまいます。上記の水酸化カリウム剥離剤の液に間違えてアルミニウムを入れると 爆発的に反応して溶けてきます。

弊社では6種類の塗装剥離剤を樹脂の種類、使い方、素材の金属種類によって使い分け それぞれ温度、時間などを

管理して使っています。


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