3価クロムメッキとマグネシウム合金の眼鏡
先日 あるお客さんからクロムメッキの見積もりを依頼された。
今は某国で作って3価クロムメッキまでしているそうだが 不良がやたら多いので
何とかならないか との事。
3年前にもまったく同じ見積もりをした。ずっと困っているらしい。
その時にはこう言われた。
「貴社のメッキの見積もりと 今払っている製品代(メッキ代まで含む)が同じです。
それではとても無理なので諦めます」
しかし いまだに困っている。どっちが高くつくのか疑問である。
メッキの色を見てもどうも6価クロムメッキだと思うんだが・・・?
「3価で注文しているので」 と きっぱりとした返事・・・
それ以上は何も言わなかったが あとで思い出した事がある。
十数年前にマグネシウムの眼鏡の開発が日本で流行ったが 結局 コストや表面処理の
問題、話題の割にはあまり売れなかったなどの理由で 今では1、2社しか作っていない。
数年前にある眼鏡の問屋さんが 「某国でマグネシウム合金の眼鏡が安くできるように
なった。しかも表面処理もしっかりしている。もう日本は追い抜かれた」 と言うので
1枚お借りして蛍光X線で見たところ それはただのアルミニウム合金の眼鏡でした。
そのように問屋さんに伝えたところ 「いや 確かにマグネシウムが入っていると
言っていた。いくら彼らでもそこまで嘘は言わないはずだ」 と言いはります。
そこで ん! ピンときました。アルミニウムの5000番、6000番、7000番には確かに
マグネシウムが入っています。2%から5%ほどですが。
Al–Mg合金、Al–Mg–Si合金と言いますから。
どうも某国では90%以上を占めている主成分のアルミは無視して
ほんの数%の成分の名前をだしてマグネシウム合金と呼ぶようです。
アルミの眼鏡なら大昔から日本で作っています。
その問屋さんは某国製のアルミ眼鏡にしては ずいぶん高い買い物をしたようです。
この件を思い出せば3価クロムメッキの事も解決です。
6価クロムメッキには1リットル当たり1g程度の3価クロムがないと正常なメッキが
つきません。光沢範囲が狭くなったり、被覆力が弱くなります。
たとえ1gの3価クロムに対して6価クロムが200gあっても
某国では そのメッキはは3価クロムメッキと呼ぶのです。
主成分は無視するのが習慣ですから仕方がありません。
でも他の国ではそれは犯罪です。
自分の身は自分で守りましょう。色んな事を知らなくては守れません。