化け学の雑学① 「強酸と弱酸」
お客さんによく言われるのですが、
「強酸で力いっぱい酸洗いしてくれ」 「つよ~い酸で処理すれば何とかならんか」 ・・・と
確かに「強酸」 「弱酸」 という言葉はありますが、これは電離度が高い酸を強酸、
電離度が低い酸を弱酸 と呼びます。電離度が高ければ 当然PHも低くなり
酸性度も強くはなります。しかし PH値と酸の強さはイコールではありません。
(ここで云う「強さ」とは 酸が金属や何かを溶かす度合いの事)
酸の強さは 〇〇酸<△△酸<☐☐酸 のように順番が決まっているわけではなく
相手に対して変わります。
例えばチタンは普通の状態ならステンレスより丈夫で、塩酸や王水、硝酸にもあまり変化は
ありませんが、フッ酸系の酸にはたちどころに溶けてきます。チタンをフッ酸で酸洗いする時には
フッ酸にはチタンよりも強いステンレス製のかごを使います。プラしチックのかごならもっと丈夫です。
また リン酸や蟻酸などにもチタンよりステンレスの方が丈夫です。蟻酸とは読んで字の如し、
ありの毒の成分です。化学式はHCOOH、酢酸CH3COOHの弟分みたいな物質です。
すこし酸味のあるコーヒーは蟻酸があるからです。
また 鉄を濃硝酸に入れても 鉄は瞬時に酸化皮膜を張って溶けませんが、この中に水を入れて
薄めていくと 鉄は泡を吹いて溶けていきます。このように酸が濃いから強い為 何でも良く溶かすという
訳でもありません。
酸には硫酸や硝酸などの酸化性の酸と 塩酸、フッ酸などの還元性の酸があり 金属を溶かす
作用がまったく違います。これらの酸は無機酸(鉱酸)といい、蟻酸、酢酸やクエン酸などは有機酸と呼びます。
酸の作用を簡単に強酸、弱酸、強い、弱いとは言えない事は ご理解いただけたでしょうか。
⇒酸洗い、研磨のページへ