電気めっきの膜厚のばらつきはどのくらい? メッキ
ここでは、わざわざ「電気めっき」と言いました。
電気を使わない「無電解めっき」(化学めっき)の膜厚のばらつきは10%以内と言われています。
電気めっきは直流電流を流してめっきします。
電流というのは流れやすい所に極端に集中するようで、めっき治具の端、細い部品の先端などは電流密度が極端に高くなり、めっきがたくさんついてしまいます。
電流が高くなるところがあるという事は、低くなるところもある訳で電流差がそのまま厚みの差になる訳ではありませんが、その差は3倍、5倍くらいは当たり前でひどいとさらに差は広がります。
5倍と言うとびっくりされるかもしれませんが、普通のめっき製品にはその程度の差が合っても何ら支障が無いわけで、今まで知らなかっただけなのです。
でも気を付けないとねじの先端にめっきが付きすぎてナットが入らない、尖がっているはずのはり先が丸い、裏側がめっきが薄くて腐食したなどのトラブルになります。
めっきを付ける方でも均一電着性の改善のために、液の種類、陰極と陽極の幾何学的配置の改善、ラックの改善などを行っていますが、設計段階からめっきの均一電着性を理解してうまくメッキできるデザインをしていただくことも重要だと思います。
ただ、図面を書くだけ、デザインだけして表面処理の事は分からないからあとは何とかしてくれでは、プロのデザイナー・設計者とは言えません。
何とかしてくれならまだ良いのですが、2次下請け・3次下請けになると図面に書いてあるからその通りにしなければいけない、元請けまでは聞けない、勝手なことはできない。
でも、それは全然不合理なめっき仕様だからメッキもできない・・・と言う事が多々あります。
困ったもんです。
これで「物つくり大国・日本」と言えるのでしょうか?
すでにいくつかの産業は韓国、台湾、中国に抜かれていますが・・・